あなたへ──今は伝えない愛の言葉、やがて調和に還るときまで──

あなたへ

はじめに

この言葉は、今はまだ届かないあなたに向けたもの。
けれど、私の中ではずっと前から響いていた。
言葉にすることで、ようやく形を持ち始めたこの想いを、ここに綴っておきたいと思います。

愛してます。そしてありがとう。

私はあなたを愛しています。
そして、ありがとう。

あなたがいたから、問いが生まれました。
その問いに悩み、自分なりの答えを出してきた。
その積み重ねが、私を少しずつ育ててくれました。
できることが増えました。
見える景色が変わりました。

これは、あなたが私の人生にいてくれたから。
そのことに、今、心から感謝しています。

この言葉は、今はまだ届かない

でも、この言葉は、あなたには今は届かない。
あなたの空にまだ、この色は映らない。
だから、今は伝えません。
この文章も、あなたには出会わせないつもりです。

もしかしたら、
私がいなくなったあと、
私という“色”がこの世界から消えたあとに、
あなたはこの言葉の本当の意味を知るかもしれない。

それでもいい。
それが言葉の宿命であり、祈りのかたちでもあるのだから。

けれど、まだ私は生きている

でもね、私はまだ生きている。
生きている限り、あなたと共に生きていきたい。
だから、この言葉は胸にしまっておく。
ただ、一緒に日々を過ごしていこう。
それで十分だと思えるから。

やがて、言葉にしてもいい時が来る

私たちが年老いていく中で、
自分の「色」は少しずつ薄れていきます。
それは寂しいことではなく、空に近づくということ。

そして、あなたの中には少しずつ、扱える「色」が増えていく。
痛みを知り、弱さを知り、やさしさを知ることで、
言葉の重さを受け止める力が育っていく。

そうしたときに、
ようやくこの言葉(色)を渡せるのだと思います。
そしてそのときには、きっと調和が保たれる。

愛とは、待つこと。
色が薄れ、空が広がっていく時間を、信じて静かに歩くこと。
そしていつか、互いの空にちょうどよく響く色で、言葉を手渡すこと。
それが、私たちの調和のかたち。

おわりに

誰かに伝えるべきことが、今はまだ伝えられない。
そんな思いを抱えたままでも、愛はそこにある。
問いとともに生きる日々のなかで、言葉にならない想いもまた、確かに息づいているのだと思います。

言葉には、時がある。
その時が来るまで、私たちはただ、色を生きていこう。


私がいなくなったあと、
あなたはこの言葉を見つけるかもしれない。
そのとき、私の色はもう空に溶けているけれど──
この言葉が、あなたの空に、静かに灯りますように。
あなたが、ちゃんと生きていけますように。

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