過ちから問いへ。ようやくわかったからこそ、この言葉を残しておきたい

自分と向き合う

※この記事では、「色」や「空」といった『色即是空』の概念を扱っています。
※「色」と「空」、そして『色即是空』の意味をより深く知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。

※本記事は、筆者が過去に犯した過ちと、そこから得た学びについて率直に綴ったものです。ルール違反を肯定・推奨する意図は一切ありません。現在は社会人としての責任と誠実さを大切にしながら日々を過ごしています。

株取引がバレて異動に。「終わった」と思った、あの瞬間

かつて、私は前職で就業時間中に株の取引をしていた。

最初は“ちょっとした気分転換”のつもりだった。
チャートを開いて、数分だけ画面に集中する。
昼休みの延長のような、気軽な気持ちだった。

でも、そんな「少しだけ」は、気づかぬうちに習慣になる。
通知を気にしながら会議に出る。業務中も頭の片隅は市場にある。
やがてそれは会社に知られることになり、私は異動を命じられた。

懲戒ではなかった。でも、はっきりと「信頼を失った」ことは感じた。
あのときの空気、視線、黙って離れていった人たち。
あれは、私の中で何かが壊れた瞬間だった。

色(かたち)を求めた先にあった、空(くう)

あのときの私は、たしかに「色」を求めていた。
もっと上手く稼ぎたい。もっと効率よく得たい。
自分の価値を、お金や利益で証明したかった。

でも、求めすぎた「色」は、手の中からこぼれ落ち、
代わりに残ったのは「空(くう)」だった。
信頼は失われ、仕事の意味も見失い、
人との距離だけが広がっていった。

まさに、色即是空(しきそくぜくう)
この言葉の意味が、皮膚の下から沁みてくるように感じられた。

異動先で過ごした“沈黙”の時間

異動先では、業務内容も人間関係も一変した。
以前のような裁量はなく、何も知らない新人のような扱い。
雑務に近い仕事を繰り返しながら、僕は静かに沈んでいた。

けれど、その“沈黙”の時間が、
少しずつ私の中で「問い」を育てはじめた。

  • 自分とは何なのか?
  • 何のために働いていたのか?
  • 本当に求めていたものは、お金だったのか?
  • 信頼を裏切ってまで欲しかったものって、何だったんだろう?

失ってはじめて、ようやく見える景色がある。
空(くう)になったことで、ようやく耳を澄ませられる問いがあった。

空(くう)から生まれた問いが、人生を変えた

哲学書や仏教の言葉を読み直すうちに、
「色即是空 空即是色」という言葉が、胸の奥に残った。

色(かたち)は、空(くう)である。
空(くう)も、また色(かたち)として現れる。

何かを得ても、それは永遠じゃない。
失っても、それが全てじゃない。
その循環の中にこそ、人は生きている。

僕は空になったからこそ、問いを持った。
そして、問いと向き合う中で、少しずつ自分が立ち戻ってきた。

新しい仕事、新しい生き方

その後、私は転職した。
まったく新しい職場で、ゼロからの再出発。

今回は、「色」を追うのではなく、
「関わる人」「姿勢」「時間の使い方」に目を向けた。

感謝を言葉にすること。
仕事に誠実であること。
誰かの信頼を裏切らないこと。

どれも当たり前のようでいて、以前の自分がどこか置き去りにしていたものばかりだった。

いま、僕は以前よりもずっと小さな世界で仕事をしている。
でも、その世界の手触りは温かく、揺らぎがなく、確かな実感がある。

ようやくわかった。だから言葉にした

ここまで言葉にするまで、ずいぶん時間がかかった。
なぜなら、私はずっと過去の自分から目をそらしていたからだ。
自分の行為を正当化し、忘れたふりをし、
「もういいだろう」と流してきた。

でも今、ようやくわかった。
色即是空 空即是色。

色を求めて空になった。
空になったから問いが生まれた。
問いと共に歩きはじめたことで、また新たな色が現れた。

だからこそ、ようやく過ちと真正面から向き合い、
このブログ記事を書くことができた。

最後に

これは、ただの懺悔ではない。
誰かに読んでもらいたいというより、
「問いと共に生きている今の自分」を記録しておきたかった。

けれどもし、この記事が、
同じように過去の自分と向き合おうとしている誰かの
背中をそっと押すことができたなら、それはとても嬉しい。

過ちは、消せない。
けれど、問いを持てば、生き直すことはできる。

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