NISAの年齢制限撤廃案は格差を助長する?──本当に必要な政策とは

社会と向き合う

最近、「NISAの年齢制限を撤廃する案」のニュースが目に入ってきました。
一見すると「子どもも資産形成のチャンスを得られる」と前向きに聞こえますが、冷静に考えるとこれは格差をさらに広げかねない制度です。

年齢制限撤廃の狙いと、その影響

政府の狙いは、「早いうちから資産形成を始め、長期投資によって将来に備えてほしい」というものです。
しかし実際に利用できるかどうかは、家庭の経済力に大きく依存します。

  • 親や祖父母に余裕があれば、子ども名義の口座に投資資金を入れてあげられる
  • 余裕のない家庭では、制度があっても利用できない

この差は、そのまま子どもの将来の資産格差に直結します。

親の経済状況が子どもの未来を左右する

子どもNISAが導入されたとしても、投資できる家庭とできない家庭の差が拡大するのは目に見えています。

  • 幼少期から資産を積み立てられる子ども
  • 制度を活用できず、ゼロからスタートする子ども

つまり「スタートラインの差」がますます広がるのです。
これは教育格差や体験格差と同じ構図であり、結局は「親の経済状況が子どもの未来を決めてしまう」ことになりかねません。

子どもに必要なのは「投資」より「体験」

もちろん、金融教育は大事です。
けれど子どもにとって本当に必要なのは、投資資産よりも 豊かな体験 ではないでしょうか。

  • 思いきり遊ぶこと
  • 自分の好きなことを見つけること
  • 学びや体験を通じて、世界の広さを知ること

こうした体験こそが、将来の可能性を大きく広げていくはずです。
しかし現実には、家庭の経済状況が「どんな体験ができるか」に影響を与えており、ここにもすでに格差が存在しています。

NISAは社会保障の放棄ではないか?

NISAやiDeCoといった制度の拡充は、「国が国民に自助努力を求める仕組み」とも言えます。

年金制度はもともと、世代間で支え合う仕組みのはずでした。
ところが「制度が不安だから、自分で備えてください」という方向にシフトしてきています。

これは裏を返せば、国が社会保障の一部を放棄し、資産形成をビジネス化しているようにも見えます。
社会全体での支え合いよりも、個人の自己責任が強調されているのです。

本当に必要な政策は「消費税廃止」

私が思うに、本当に必要なのはNISA拡充ではありません。

  • 積極財政による国民所得の底上げ
  • 教育費や子育て費用の負担軽減
  • 安心できる社会保障の再設計

その第一歩が 消費税の廃止 です。

消費税は、誰にでも同じ税率でかかるため、低所得層ほど負担が重くなります。いわゆる「逆進性」が強い税制です。
さらに、消費税は人々の購買意欲を直接冷やし、デフレを長引かせてきました。

つまり消費税を取らないことこそが、格差是正と景気回復の両方に直結する政策なのです。

財源は国債発行で十分

「消費税を廃止したら財源はどうするのか」という問いが必ず出てきます。
けれど、今の日本はデフレ気味で需要不足。財源は国債発行で構いません。

インフレ率が安定している限り、国債は「将来世代へのツケ」ではなく「未来への投資」になり得ます。
教育、子育て、医療や福祉に大胆に投資することが、かえって将来の税収増をもたらすはずです。

それでも私は積立投資を続ける

とはいえ、国の仕組みがすぐに変わるわけではありません。
だから私は現実的に、安全資産とリスク資産を50:50に分けて、コツコツと積立投資を続けています。

投資をしていると、国や世界の情勢に自然と目を向けるようになります。
それ自体は良い経験であり、学びにもなっています。

しかし同時に「結局はグローバル市場に中抜きされているのではないか」という感覚も拭えません。
日本人の投資資金が海外に流れ、国内には思ったほど還元されない。そんな構図を感じてしまうのです。

幸せはお金ではなく「つながり」から生まれる

最後に、私はこう思います。
お金があれば安心感は得られるかもしれません。けれど、お金だけで幸せにはなれません。

人と人とがつながり合い、支え合うことで、初めて幸せは形になるのだと思います。
だからこそ、投資制度との付き合い方を考えると同時に、「人との関係性」も大事にしていきたいのです。

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