マラソンと子育て――空へとつながる力

家族と向き合う

※この記事では、「色」や「空」といった『色即是空』の概念を扱っています。
※「色」と「空」、そして『色即是空』の意味をより深く知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。

核家族での孤独な日々

子育ては、体力がいる。
そして、体力以上に精神力がいる。
核家族であればなおさら、誰にも頼れず、目の前にいる子どもと向き合うしかない日々が続く。

ふと思う。
もしかしたら、私がマラソンを続けてきたのは、この子育てのためだったのではないか。

マラソンで得たものは何だったのか

フルマラソンを走ったときの達成感。
ウルトラマラソンで迎えた夜明けの瞬間。
ゴールへたどり着くまでの一歩一歩にこめられた集中と忍耐。

あの時、確かに私は「走ること」そのものを楽しんでいた。
けれど、今振り返ると、それは単なる競技や趣味以上のものだった。
体力と精神力――子育てという長い道のりを歩むための礎が、そこに築かれていたのだ。

子育てはウルトラマラソンに似ている

子育てをしていると、よく思う。
これはまるで、ゴールの見えないウルトラマラソンだ、と。

夜泣きが続く時期。
イヤイヤ期で何度も立ち止まる日々。
仕事や家事との両立で、自分の時間がどこかに消えてしまったように感じるとき。

そのどれもが、長距離レースの「壁」のように立ちはだかる。
「もう無理だ」と心が叫ぶ瞬間もある。
けれど、その壁を超えた先にしか見えない景色があることを、私は走ることで知っている。

体力は減っても、精神は残る

確かに、マラソンで鍛えた体力は少しずつ削られ消えていく。
子どもを抱っこして、遊んで、一緒に走り回り、夜にはどっと疲れが押し寄せる。
「今日はもう動けない」と思うこともある。

しかし、不思議と精神はまだ残っている。
ゴールまで諦めなかった経験。
足が動かなくても、一歩だけ進んでみたあの夜。
絶望の中で、朝の光を迎えたあの瞬間。

それらは消えることなく、今も心の奥に根を下ろしている。

イライラも「色」、やがて「空」へ

子育ての中では、どうしてもイライラすることがある。
子どもが思うように動いてくれないとき。
自分に余裕がなく、心がささくれ立つとき。

感情は波のように押し寄せ、気づけば怒りや焦りに支配されそうになる。
けれど、マラソンは教えてくれた。

痛みも、疲れも、喜びも、すべては「空」に溶けていくということを。
だから、イライラの「色」もまた、いつか空へと還っていく。

深呼吸をひとつすれば、心は少しずつ回復する。
それができるのは、走り続けた時間があったからだと思う。

子育てとマラソンに共通する「戻る力」

マラソンを走ると、必ず心が折れそうになる瞬間が訪れる。
その時に必要なのは、特別な技術ではなく「戻る力」だ。
ペースを乱しても、痛みに襲われても、呼吸を整え、再び前に進む力。

子育ても同じだ。
イライラしても、失敗しても、落ち込んでも、また子どもと向き合い、抱きしめ、笑い合える。
その繰り返しの中で育まれていくものがある。

「戻る力」があるからこそ、毎日は続いていく。

子育てもまた旅

走ることと、子を育てること。
一見、別の営みに見えて、実は深くつながっている。

どちらも、ゴールを目指すものではなく、歩みそのものが意味を持つ旅だ。
喜びも苦しみも「空」に溶けていくからこそ、一瞬一瞬が尊く輝く。

子育ての道のりも、マラソンの道のりも、色即是空・空即是色。
だからこそ私は今日もまた、一歩を重ねていく。

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