人は揺らぎを乗り越えるたびに、強くなる
転職活動で、内定をもらい、条件面の提示を受ける。
その瞬間、ほっとする気持ちと同時に、心が大きく揺れ始める。
現職を続けながらの転職活動は、想像以上に消耗する。
体力よりも、気力を削られる。
それでも、この「揺らぎ」こそが、人間的なのだと思う。
揺らぐのは、誠実に生きている証拠
もし、この局面でまったく揺れなかったとしたら、
それはどこかで何かを切り捨てている可能性がある。
これまで築いてきた仕事や人間関係。
新しい環境への期待と不安。
条件という現実的な判断材料。
年齢や家族、これからの時間。
それらを全部、ちゃんと感じているからこそ、心は揺れる。
揺らぎは弱さではない。
むしろ、人生を雑に扱っていない証拠だ。
一番しんどいのは「決める直前」
条件提示を受け、詳細を詰めていくフェーズ。
この段階は、転職活動の中でも精神的な負荷が最も大きい。
もう「選ばれる側」ではない。
しかし、まだ「決めた側」にもなっていない。
現職にも、新天地にも、完全には立っていない。
足が二つの岸にかかった状態で、踏ん張り続けるしかない。
この状態で揺れない人の方が、どこか無理をしている。

交渉は、勝ち負けではなく「設計」
条件交渉という言葉には、どこか身構えてしまう響きがある。
だが本質は、要求を通すことではない。
- この条件なら、どんな価値を提供できるのか
- この働き方なら、どんな成果が出せるのか
- この制約があるなら、別の形で補えることは何か
交渉とは、互いの関係性や役割を設計していく対話だ。
ここを曖昧にしたまま進めば、入社後に必ず歪みが出る。
逆に、丁寧に言葉を交わせた関係は、後々まで支えになる。
このフェーズでの対応そのものが、確実に人を成長させる。
仕事だけでは終わらない調整
転職の調整は、会社との条件交渉だけでは終わらない。
現職への配慮。
引き継ぎや退職時期の相談。
そして何より、家庭内での調整がある。
次の住居をどうするか。
子どもの転園をどう考えるか。
生活リズムはどう変わるのか。
これらは書類にも、条件表にも現れない。
しかし、人生への影響は最も大きい。
家庭の話をすると、
「仕事と関係ない」と切り分けられがちだが、
実際には切り離せない。
仕事の選択は、生活の選択でもあるからだ。
転がされている感覚と、落ち着きを取り戻す方法
交渉中は、相手の返答待ちや社内調整が続く。
自分でコントロールできない時間が増えるほど、
気持ちは外部要因に振り回されやすくなる。
「いろんな所を、ころころ転がされている」
そんな感覚に陥るのも無理はない。
だからこそ、落ち着いていないといけない。
急がず、冷静に対処する必要がある。
ルーティンは、判断力の避難所
こんな時に助けになるのが、日々のルーティンだ。
ルーティンは、
気分転換や生産性向上のためだけのものではない。
自分の人生の主導権を、いったん自分の手に戻すための装置。
「今日はこれをやる」と決まっている行為が、
判断を保留にしてもいい場所をつくってくれる。
答えを出すために走る必要はない。
書くことで結論を出さなくてもいい。
整えるだけでいい日が、あっていい。
急がないという強さ
状況は動いている。
しかし、自分は不用意に動かない。
この距離感は、弱さではなく強さだ。
揺らぎを否定せず、
ルーティンに戻り、足元を整えながら待つ。
それは逃げではない。
ちゃんと構え直している状態だ。
交渉の結果がどうであれ、
このプロセスを丁寧に通過した経験は、必ず自分の中に残る。
揺らぎの中で立ち止まれること。
それ自体が、すでに一つの成長なのだと思う。






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