グローバリズムと現代の奴隷制──「派遣=仕入れ」にされた人間

社会と向き合う

はじめに

「女性の賃金が上がらない」「非正規が増える」──こうしたニュースを見聞きしても、多くの人は「なぜそうなるのか」の根本構造までは意識しません。

その裏には、人間が「コスト」や「仕入れ」として扱われる仕組みがあります。これは、グローバリズムが進展した現代において、形を変えた「奴隷制」とも言えるのです。

人間が「仕入れ」扱いされる会計構造

派遣労働と「外注費」処理

日本では1999年の派遣法改正以降、派遣労働が拡大しました。企業にとって派遣社員の人件費は「外注費」として処理でき、粗利を圧迫しません。

一方、正社員の給与は「人件費」として計上され、粗利を直撃します。
結果として、企業にとっては 「正社員を雇うより、派遣や非正規を使ったほうが有利」 という歪んだインセンティブが生まれたのです。

消費税との共通点

消費税は「売上-仕入れ」に課税されます。派遣を「仕入れ」にできることで、まるで人間が原材料と同じ扱いを受けている構図が浮かび上がります。

ここに、現代の奴隷制の一端が見えます。

国が企業に「栄養」を送り込む政策の危うさ

半導体への巨額補助金

最近の代表例が、TSMCなど半導体企業への巨額補助金です。数千億円規模の資金を国が投じていますが、半導体はもともと利益の出やすい分野です。

本来なら企業が自らリスクを取って投資すべき領域に、国が「木そのものに栄養を注ぐ」ように補助金を与えている。結果、土(労働者や社会基盤)が痩せ細っているのに、木(企業)だけを太らせることになります。

本来投資すべきは「土」

一方で、企業が自ら手を出しにくい分野──食糧安全保障、地域インフラ、教育──こそ国が投資すべき領域です。
「企業が投資しないところに国が入る」「企業が儲かるなら税で吸い上げる」──これが健全なバランスです。

歴史に見る「現代の奴隷制」の構造

産業革命期と児童労働

18〜19世紀の産業革命期、イギリスの工場では子どもが一日12〜14時間働かされました。彼らは「安価で使い捨てられる労働力」として搾取されていました。

これは鉄の鎖で縛られた奴隷制とは異なりますが、構造的には「自由を奪われた労働の強制」であり、酷似しています。

現代の非正規労働

現代の非正規労働者もまた、「辞めたら生活が破綻する」という経済的な鎖に縛られています。

  • 正社員:生活が守られるが雇用は減少
  • 非正規:自由に見えて、実は辞められない

こうして、「鉄の鎖」が「経済の鎖」に変わっただけの奴隷制が、グローバリズムのもとで再生産されているのです。

社会全体への影響

格差拡大と賃金停滞

  • 日本の非正規雇用比率は約4割(特に女性と若者が多い)
  • 30年間ほとんど賃金が上がらない

こうした現実は、「人間を仕入れ扱いする」制度の帰結にほかなりません。

「土」が痩せると「木」も枯れる

補助金や減税で企業だけを太らせても、土(労働者、地域社会)が痩せれば、木(企業)もやがて成長できなくなります。これは農業にたとえると分かりやすいでしょう。

これから求められる方向性

企業と逆を行く国家

  • 企業が投資しないインフラや教育 → 国が投資
  • 企業が儲かる領域 → 税で吸い上げる

こうして、国家と企業の役割を逆方向で補完することが必要です。

人を資源ではなく資産に

  • 最低賃金の底上げ
  • 教育とスキル投資
  • 非正規と正規の格差是正

これらによって「人は仕入れ品ではなく、社会の資産である」という発想に転換する必要があります。

おわりに

グローバリズムは利便性と効率をもたらしました。しかし、その裏で「現代の奴隷制」が広がり、人がモノのように扱われています。

国家が本当にすべきことは、企業を応援することではなく、人間を人間として尊重する社会の土壌を耕すことです。そこからこそ、持続的な企業成長も生まれるのではないでしょうか。

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