「これだけはやる」がくれる安心
日々の暮らしは忙しい。
仕事、育児、家事、付き合い、雑事……
気づけば一日が終わっていて、
「今日、自分は何をやったんだろう」と振り返っても思い出せない。
やりたいことも、やらなければならないことも、無数にある。
けれど全部はできない。
そんな中でも、
「これだけはやる」と小さなことを決めて、毎日続けていくと、
不思議な安心感が生まれてくる。
たとえば、ストレッチを3分だけやる。
日記を一行だけ書く。
5分だけ掃除をする。
そんな些細なことでいい。
それだけでも、
「今日は何もできなかった」という自責の念がやわらぐ。
「これだけは今日もできた」と思えると、
自分の中に一本、確かな芯が立つ。
秩序があると、余裕が生まれる
小さな習慣は、ささやかな秩序をもたらしてくれる。
秩序とは、「形がある」ということ。
それがどんなに小さな形でも、
それが自分の中にあるだけで、心は落ち着く。
忙しさや混乱のなかにあっても、
その習慣が毎日同じ位置に存在してくれることで、
空間が整い、時間が整い、気持ちが整っていく。
秩序が生まれると、そこに「余裕」が生まれる。
余裕とは、つまり「空白」だ。
詰め込まれていない、押しつぶされていない、自由なスペース。
その空白のなかで、
人はようやく深く息をつき、
自分を取り戻すことができる。
余裕があると、想像力が育つ
余裕のないとき、
人は目の前のことに反応するだけで精一杯になる。
けれど、余裕があると、そこに「想像」が宿る。
「明日はこうしてみようかな」
「この人はなぜこんなことを言ったんだろう」
「これを別のやり方でやってみたらどうなるだろう」
想像力は、未来をつくる力だ。
それは秩序の外側、混沌の中から立ち上がる力でもある。
余白の中で、
人は自分の想像を遊ばせることができる。
そこから新しい気づき、
新しい問い、
新しい道が生まれる。
想像からまた、秩序が生まれる
想像によって生まれた新しい何かが、
また日常の中で「形」となり、
習慣となっていく。
そうやってまた、
新しい秩序が生まれ、
その秩序の中から新たな余裕が生まれ、
余裕からまた想像が育まれる。
この「秩序 → 余裕 → 想像 → 秩序」という循環を大切に生きていきたい。
ただのルーティンではない、ただの惰性でもない。
生きていく中で、ふと見つけた小さな決意と、
それを続けていくことで自分のなかに整っていく「循環」。
それこそが、忙しい現代のなかで心を保ち、希望を見つけるための道筋なのだと思う。
小さなことを、続ける力
だから私は、今日も「これだけはやる」を大切にしている。
それは本当に小さなことだ。
誰にも気づかれないかもしれない。
でも、自分だけは知っている。
それを今日も続けたことを。
その小さな達成が、明日へと続く道のりになる。
混沌を恐れず、秩序を失わず。
そのあいだを行ったり来たりしながら、生きていく。
そんな日々の積み重ねが、きっと自分という存在を少しずつ育ててくれるのだと思う。







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